明治大学校友会逗子葉山地域支部ホームページⅡ

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紙切り芸人 三遊亭絵馬さんの芸に感心しました

 11月14日(土)13時より逗子市小坪にある社会福祉法人湘南の凪“小坪もやい”で敬老寄席があり、当支部役員の日向、西山、綾部、足立、根岸の5名が顔を揃えていました。ここは当支部が明大マンドリン倶楽部チャリティーコンサートを開催した際にチャリティー先にした所でもあり一度中に入ってみたいと思っていた場所でもありました。敬老寄席は3階の70~80人は入れる板床の広いホールで、前面に移動可能な高さ1m程の演壇がセットされ、しっかりした椅子が70人分程用意されていました。主催者のNPO法人逗子葉山駅前寄席の方たちが準備した「招福三身相応たり」(しょうふくさんしんそうおうたり)と墨書した4つ折り屏風が演題の座布団の後ろに置かれていました。敬老寄席に来られた方々が、福を招き三身相応(法身・応身・報身とも欠けたところが無く立派)との思いで書かれたようでした。また客席から向って右には東逗子の書書きの方が寄席文字で書いたという「めくり」が立ててありました。

 まず地元の逗子開成高校卒という2つ目の瀧川鯉丸さんの落語を聞きました。鯉丸さんの落語は2か月前の9月23日に当支部の綾部さんや大川さんとヨコスカ・ベイサイド・ポケットで聞いていましたが、地元公演のためか開成中学時代に彫刻刀を普通は3種類なのに自分は左ききだったため特別の10種類の彫刻刀を持っていて彫ったものは素晴らしく先生に褒められていたとの話しもありました。

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 次に登場した三遊亭絵馬さんの紙切りは初めてでした。日向さんは前にも会われていて絵馬さんも日向さんの顔を覚えておられました。あとは再度瀧川鯉丸さんが登場して2つ目でトリとは光栄ですと話されていました。敬老寄席が終わった後、別室での打ち上げ懇親会に実行委員の方々に交じって鯉丸さんや絵馬さんと話す機会がありました。絵馬さんには色々お聞きしていますので、当支部のブログで紹介しておきます。

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  紙切り芸は、今から50年位前に逗子亀ヶ岡八幡宮のお祭りの際に年配の林家正楽さんが来て、舞台上で紙切りをするのを見た記憶が幽かに残っています。観衆の求めに応じ紙切りをしながら客を笑わせる芸に感心したものです。この思いがあって絵馬さんの紙切り芸披露を見たのですが、さすが紙切り師は手を休めることなく慣れた手つきで良い鋏を使っているなと感心したり、また話術も素晴らしく目は当然下の紙に行っていますが、瞬時も黙っていることなく観客に語りかけて笑いを誘っていました。紙切りの芸はこの話術がないと成り立たないということを実感しました。はるか昔の正楽さんのしゃべりが蘇って来るような気がしました。

 絵馬さんの寿の字、宝船、ゴジラを添えたスカイツリー,バニーガール、競馬馬2頭他紙切りの最中に、「紙切り師は日本で何人いると思いますか」という質問がありました。私は30人で手を挙げましたが、なんと7人しかいないということでした。インターネットで調べてみると3代目林家正楽、林家今丸、その弟子の林家 花、桃川 忠、その弟子の桃川 健と三遊亭絵馬、柳家松太郎、その他に増田宣夫、スイス人の鈴木エリザベータという方が出てきます。貴重な方の紙切り芸を身近で見られて、懇親まで出来た奇縁に感謝した1日になりました。

    懇親会で鋏について聞いたところ思わぬ返事が返ってきました。使っている鋏は2種で1種は師匠譲りの鋏。ステンレスではなく鉄の鋏とのことで種子島の言葉が出てきました。豊富な砂鉄によって「たたら島」とよばれる種子島は、昔から鍛冶職人が育っていましたが鉄砲が伝来した時に種子島に漂着した明国船に乗っていた中国の鍛冶師から教わったと言われる本種子鋏(ほんたねばさみ)が有名です。紙切り師がこの鋏を使っていたことは、紙切り芸がはるか昔に中国で行われ、何時か日本に伝わった文化である思いを強くしました。失礼ながら初めは切る紙に鉛筆で書いてその場所を切るのではと聞きましたが、切る速さと首を振ったり、手を大きく回したり、おしゃべりを考えると、そんなことはとても不可能でした。 

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 絵馬さんは美術関係の短大を卒業後して就職。その後芸者を志したそうですが時すでに遅しで年齢が災いして却下。 そんな時に好きな寄席で観た「紙切り」にすっかり心を奪われ、この道に入ったとのことです。数少ない紙切り芸人の中で、さらに少ない女流紙切りのうちの1人。扱う題材は古典ものから子供向けキャラクターまで幅広く、その場で観客からのリクエストに応じたものを 、ユーモアと茶目っ気たっぷりの紙切り芸で明るく喋りながら、または歌いながら切ることが多いそうです。歌って踊れる紙切り芸人を目指して、多方面に活躍中です。

 現在三遊亭左圓馬師匠の内弟子として又師匠が勧進元をしている大江戸小町会の一員に、逗子にも来たことがある明大卒の落語家 春雨や風子さん共々参加されて、話術も日夜研鑽されておられるようなので今後の活躍を祈らずにはいられません。

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